「自律神経を整えるために深呼吸をしましょう」そう聞いたことがある人は多いと思います。でも、なぜ呼吸が自律神経に影響するのでしょうか?
そこには、肺の構造と自律神経の働きの関係が深く関わっています。
自律神経と呼吸の関係
自律神経には大きく分けて2つの働きがあります。
- 交感神経:活動モード(心拍上昇・呼吸促進・血圧上昇)
- 副交感神経:休息モード(消化促進・心拍安定・呼吸を落ち着ける)
自律神経を整えましょうと口うるさく言われるかもしれませんが、このバランスで私たちの体は一日を過ごしています。そして体調や感情など、様々な面で心と体に影響があり、深く関わっています。
個人的なイメージでは、自律神経という概念が広いため説明するには膨大な情報量が必要であり、それが「自律神経だけで片付けられてしまう」要因かもしれません。そこで今回のブログから、その自律神経を少しずつ紐解いていきたいと思っています。
そして一番整えやすい方法は「深く呼吸をすること」。呼吸は、その切り替えのスイッチになっているのです。
肺の上と下で変わる神経の働き
私たちは呼吸をすると肺が動きます。その肺には自律神経、いわゆる神経がくっついているのです。面白いことに、肺は場所によって神経の作用が変わります。
肺の上部(交感神経が優位)
- 浅い呼吸は、胸の上だけが動きやすい。
- ここは交感神経が強く働く場所。
- だから呼吸が浅いと「落ち着けない」「肩や首に力が入る」という状態になりやすい。
→ 例えば、
- 怒っている時、イライラしている時は呼吸が浅く早くなっていませんか?
- デスクワーク中、いつの間にか肩が上がっている時。
- 夜ベッドに入っても頭が冴えて眠れない時。
これらは“肺の上だけ”で呼吸しているサインかもしれません。
肺の下部(副交感神経が優位)
- 深く息を吸うと、横隔膜が下がり、肺の下まで空気が入る。
- ここは副交感神経が強く働く場所。
- 呼吸が下部まで届くと「安心感」「落ち着き」「眠りやすさ」につながる。
→ 例えば
- 自然豊かな場所を散歩して大きく息を吸ったとき。
- お風呂に入って「はぁ〜」と自然に息が抜けたとき。
- 誰かと安心して話しているとき。
- 体の動きで見ると、肋骨の下部が広く膨らんで動いている時
これらは“肺の下まで”呼吸が届いているサインです。
日常にどう活かせるか?
この情報を知っただけでは意味がありません。大切なのは「日常でどう活かすか」です。
まずはご自身の呼吸を観察してみましょう。
- 呼吸が浅く、早くなっていないか
- ゆったりと穏やかに呼吸ができているか
鏡を見て呼吸してみると、肋骨の上の方だけが動いているのか、肋骨全体が広がっているのかが分かります。
また、感情によっても呼吸は変わります。怒っているとき、疲れているとき、不安なとき、どんな呼吸になっているかを観察するのも面白いでしょう。
呼吸が浅く、早い時は
- 体調が悪くないですか?疲れていませんか?
- 肩が凝っていませんか?
- 仕事中、どんな姿勢で座っていますか?
もし思い当たることがあれば、まずは「ゆったりと深く呼吸する」ことを意識してみてください。
副交感神経が優位となり、回復モードに促してくれます。
まとめ
- 呼吸が浅いと、肺の上(交感神経)ばかりが使われ、心も体も緊張しやすくなる。
- 呼吸が深いと、肺の下(副交感神経)が働き、落ち着いていられる。
- 「どこまで呼吸が届いているか」が、自律神経を整えるカギになる。
体調がすぐれない時や疲れている時にも、呼吸に気づき、意識を向けるだけで自律神経のバランスを整えるきっかけになります。
今回は、自律神経と呼吸、そして呼吸に深く関わる肺について簡単に書いてみました。これだけでも、日常の見え方が少し変わってくるはずです。
次回予告
次回は「自律神経と横隔膜」について。呼吸の要である横隔膜が、自律神経や姿勢、体調にどのように関わっているのかを掘り下げていきます。