ピラティスが大きく流行り始めた背景には、韓国アイドルなどスタイル抜群の女性たちが取り入れているという視覚的イメージが強く影響していると思います。
しかし、実際に何十人、何百人とピラティスを長年続けている人たちの体を見ていると、週に何回も、何年も継続していても、体型や骨格そのものが劇的に変わることはありません。
姿勢や動きの質が最適化されることはあっても、それは「身体の使い方が洗練される」という神経的な変化によるものであって、骨や筋肉の形が変わるわけではないのです。
ピラティスは本来、体型を細くするためのものではなく、神経筋制御を整えるメソッドです。
姿勢・呼吸・関節の可動パターンが最適化され、身体を効率よく、無理なく動かせるようになる。その結果として「姿勢が良く見える」「ラインが整って見える」という変化は起こりますが、それはあくまでも“整列の結果としての見え方の変化”であって、体型そのものの変化ではありません。
細く見える人たちは、もともと食事の摂取カロリーを細かく管理し、有酸素運動やダンスで代謝を上げ、日常的に体を使っています。ピラティスは、その全体の中での「調整と維持のパート」にすぎません。
つまり細さはピラティスの効果ではなく、食事制御や運動習慣などの別の生活習慣が作り上げているものです。
「ピラティスで痩せる」という言葉は、マーケティングによって再定義された表現であり、実際には痩せている人がピラティスをしている姿を見て、ピラティスが痩せさせているように感じてしまうだけなのです。
長くピラティスやボディワークに携わっていると、「理想の姿勢」というものは存在しないことが分かってきます。
骨格の形、筋の張力、呼吸の癖、重心の置き方——どれも人によって異なり、それぞれの体にはそれぞれの調和点があります。
その調和点を見つけていくプロセスこそが「最適化」であり、そこが整った瞬間、身体は静かな美しさをまといます。
ピラティスの起源はリハビリにあり、どの運動が正しいという話ではありませんが、運動習慣のない人が無理なく身体を整える導入としてはとても良い選択だと思います。負荷はありますが、身体を壊すような追い込みにはならず、動きの基礎を整えることができます。
そこから少しずつ体力がついてきて、より筋力や持久力を高めたい場合には、筋トレや有酸素運動を交互に取り入れていくのが理想的です。
ピラティスで身体の使い方を整えた上でこれらの運動に移行すれば、フォームを崩さずに負荷を高めていけます。
ただ、ピラティスをどれだけ続けてもモデルやアイドルのように極端に細くなることはありません。
ピラティスは代謝を大きく上げて脂肪を燃やす運動ではなく、姿勢や筋の協調、呼吸の再教育が中心です。継続することで姿勢が整い見た目がすっきりすることはありますが、脂肪の総量が減るわけではないのです。
何度も言いますが、「モデルやアイドルのような体型」とは、厳しい食事制御、長時間の有酸素運動やダンス、撮影前の減量など、多くの条件が重なってできあがるもの。
ピラティス単体であの体型を目指すのは生理的に不可能であり、もし無理にそこを狙えば、先に健康を害してしまいます。


