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子どものストレスと向き合うために、呼吸というシンプルな方法を

「最近、子どもがなんとなく不安そう」「イライラしやすくなっている気がする」

そんなふうに感じることはありませんか?

学校、習い事、SNS、家庭内の空気、子どもたちは、私たち大人が思っている以上に多くのストレスを受けています。

けれど、それをうまく言葉にできなかったり、「我慢してやりすごす」ことを覚えてしまったり。

今回ご紹介するのは、子どものストレスと向き合うために、薬や専門治療ではなく、もっと身近で、しかも自分でできるアプローチです。

それは、「横隔膜呼吸」です。


なぜ、いま「呼吸」が注目されているのか?

近年、ストレスに対する非薬物的アプローチのひとつとして「呼吸」が注目されています。

特に横隔膜をしっかり使って行う深い呼吸は、心拍や自律神経に直接作用し、心身を落ち着かせる効果があるとされます。

大人向けのマインドフルネスやヨガなどでも取り入れられていますが、実は「子どもたち」に対しても非常に有効であることが、近年の研究でわかってきました。


論文レビュー:横隔膜呼吸は子どものストレスをやわらげるのか?

2024年に発表された文献レビュー([PMC11763547](https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11763547/))では、

6〜18歳の子どもやティーンエイジャーを対象にした13件の研究が分析されました。

その結果、横隔膜呼吸(Diaphragmatic Breathing)には以下のような効果があることがわかっています:

- ✔️ 不安や緊張の軽減

- ✔️ 抑うつ傾向の緩和

- ✔️ 集中力の向上

- ✔️ 医療処置における不安や痛みの軽減

- ✔️ 肥満児におけるBMIやウエスト比の改善

- ✔️ 家族関係・学校生活へのポジティブな影響

つまり、横隔膜呼吸は単なる「リラックス法」ではなく、

心・体・社会的側面すべてに働きかけるセルフケアの手段とも言えます。


横隔膜呼吸とは?

横隔膜呼吸とは、胸の上の方だけで浅く呼吸するのではなく、お腹の奥、横隔膜(肺の下にあるドーム状の筋肉)をしっかりと使って深く呼吸すること。

▶ 胸式呼吸との違い

| | 胸式呼吸 | 横隔膜呼吸 |

| 主に使う筋肉 | 肩・胸まわりの筋肉 | 横隔膜 |

| 呼吸の深さ | 浅い | 深い |

| 自律神経への影響 | 少ない | 高い(副交感神経を優位に) |

| 心身への効果 | 一時的 | 継続的な安定につながる |

この呼吸を意識的に行うことで、脳や身体の「防衛モード」を緩めることができるのです。


子どもにとっての「呼吸」の力

この研究が示してくれたのは、「子どもこそ、呼吸の恩恵を受けやすい」という事実です。

特に印象的だったのは、以下のようなケースで呼吸が役立ったという報告です:

- 🎓 学業ストレスのある子どもが、定期的な呼吸練習で不安が減った

- 🏥 歯科治療や注射の際に呼吸を用いることで、痛みと恐怖感が軽減

- 🧠 抑うつ症状のあるティーンが呼吸で落ち着きを取り戻した

- ⚖️ 肥満気味の子どもが呼吸と軽い運動の併用で体型改善

呼吸は、どこでも・誰でも・今すぐに始められる方法です。

特別な道具も、技術も必要ありません。

「身ひとつでできる」という点が、子どもたちにとってとても大きなメリットになります。


家庭や学校でできる呼吸法

ここでは、子どもでも簡単にできる呼吸の方法をご紹介します。

🌬️ やってみよう!「風船ふくらまし呼吸」

1. 椅子に楽に座り、背もたれには寄りかからない

2. 両手を肋骨に添える(触れるだけ)

3. 鼻からゆっくり息を吸って、お腹を「平にする」

4. 口からハーッと長く吐く(おへそが横に広がるイメージ)

5. 吸う:4秒 → 吐く:6〜8秒のリズムが理想

※ 寝る前や授業前など、1日1〜2分からでもOK


最後に:親がまず、呼吸を整えるということ

スミカのセッションでも、私たちは「呼吸」と「身体の感覚」をとても大切にしています。

子どもが落ち着かないとき、大人が「落ち着いて!」と声をかけても、それだけでは難しいものです。

けれど、大人が自分の呼吸を整え、静かにそばにいるだけで、

子どもも自然と呼吸がゆっくりになっていくことがあります。

呼吸は、言葉を超えてつながれる“共通のリズム”のようなもの。

このブログが、そんな呼吸との向き合い方のヒントになれば幸いです。


参考文献

- [The Effect of Diaphragmatic Breathing as a Complementary Therapeutic Strategy in Stress of Children and Teenagers 6–18 Years Old](https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11763547/)

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