呼吸を軸にしたピラティス｜小さな変化を積み重ねるスタジオの考え方

今年は、スタジオの方向性をじっくりと見つめ直す1年になっています。これまでにも様々な変更を重ねてきましたが、その中で最も大きな変化は、個人セッションを90分へと変更したこと。

今日のセッション中、ふと「やはり軸は【呼吸】なのかもしれない」と思いました。

もともと呼吸に特化してきたこと、そして近年さらに「呼吸を観る」ことを深めてきた流れから考えると、この方向性には全く違和感がありません。むしろ「なぜ今まで、もっと明確にそうしてこなかったのだろう」と不思議に感じるほどです。

僕は鍼灸師でもなければ、理学療法士でもない。ロルファーさんのように特定の分野で強い専門資格を持っているわけでもない。

ただの、ピラティスのインストラクターです。

だからこそ、この数年は「自分にしかない専門性」を模索してきました。今ある答えが、呼吸です。

呼吸を起点に体を観て、整え、動きに繋げること。そして呼吸のことを伝えていくこと。僕のやるべきことだと気づきました。

これまでにも、お客さまから

「スミカで呼吸すると落ち着きますね」
「リラックスできます」
「すごく広がる感覚が分かります」
「こんなに吸えたんだと感じたのは初めてです」

といった声を、たくさんいただいてきました。

グループレッスンでも、「ピラティスでここまで呼吸をするのは初めてです」と驚かれることも少なくありません。

改めて思うのは、僕の軸を【呼吸】に置くことで、目指す方向性や講座の内容に一貫性が生まれるということ。これまでも「軸」はあったものの、どこに向かって進むのかが定まりきらない感覚がありました。

90分のセッションの中で深まっていく呼吸。呼吸が深まれば、心も姿勢も変わる。呼吸によって循環が生まれ、コアバランスが安定し、繰り返すことで穏やかさが育まれる。

呼吸は、常に僕たちの無意識下で行われています。だからこそ「浅くなっている」ことにも気づけないことが多い。何かをきっかけに気づければいいのですが、それもなかなか難しいものです。

では、どうすれば呼吸を深められるのか。そう考えたとき、多くの人は「呼吸のことをそもそも知らない」という壁にぶつかります。学校でも、日常生活でも、呼吸を学ぶ機会はほとんどありません。

だからこそ、スミカでの時間をきっかけに、呼吸を知ってもらいたい。その理解が、呼吸を深める第一歩になるはずです。

僕は、呼吸が深まれば生命力が上がると考えています。呼吸は、これから先の健康を必ず支えてくれる存在です。

セッションの初回では必ず、呼吸の変化に気づける状態を目指しています。そのために、まずは体の制限や緊張を減らし、リラックスできる体＝整っている状態をつくる。

この時点で呼吸の変化を感じられるはずですが、そこからさらにピラティスとつなげることで、呼吸の広がりが全身に波及し、動きの質がまとまっていくのです。

人はどうしても「劇的に変化したい」と思ってしまうものです。その瞬間にバンッと変わった感覚を味わいたい——その気持ちは、僕もよく分かります。

けれど、実際の体はそうではありません。

本当に大きく変わっていくためには、一つひとつの小さな変化や気づきを積み重ね、それが日常に自然と溶け込んでいくことが必要です。それが結果として、長く続く大きな変化になるのです。

むしろ、劇的な変化には注意が必要です。

もしかしたら、本来変わってはいけない箇所が変わってしまっているかもしれないからです。それは呼吸かもしれないし、骨の動きかもしれません。

僕が大切にしているのは、お客さまが自分の体に気づき、意識を向けられること。そして、どこかのタイミングでその「気づき」が生まれるようなきっかけをお渡しできる人でありたいと思っています。

自分で気づき、意識できるようになることは、日常へとつながり、これから先の何十年という時間の中で生きる“経験”になります。だから僕は、自分が何かをしてあげるのではなく、お客さま自身が気づけるセッションとレッスンをしていきたい。

せっかく時間を割いてスタジオに来てくださっているのですから、スミカは「その場限り」ではなく、スタジオの外にいるときも、どこかでその感覚が続いている——そんな存在でありたいのです。

呼吸を知り、深めることは特別なことではなく、誰にでもできることです。ただ、そのきっかけや方法を知る機会は限られています。

スミカでは、90分のセッションを通して、その一歩を一緒に踏み出すお手伝いをしています。もし興味を持たれた方は、ぜひ一度体験してみてください。

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