ピラティスは、動きの上手い下手を競うものではありません。大切なのは、エクササイズを通して自分の体の状態に気づけるかどうかです。日常に寄り添い、体のサインを知るために最適なメソッドだと考えています。
例えば、肩に常に力が入っている人。
その状態が当たり前になると、肩こりや痛みがあっても「仕方ない」と思ってしまいます。 実際、自分では肩に力が入っていることにすら気づけない場合が多いのです。
痛みやこりは、体からのサインです。
スタジオスミカのような場所で客観的に体を観てもらうことで、初めて「肩に力が入っていたんだ」と気づくことができます。見た目の動きが美しくても、自分の体のサインに気づけなければ、本当の意味での改善にはつながりません。
体のクセや不要な力みが取れると、動きは自然に向上していきます。つまり、エクササイズの質を上げる最短ルートは「上手く動こうとすること」ではなく「自分に気づくこと」なのです。
ピラティスがもう一つ長けていること。
それは「呼吸」です。
呼吸はピラティスの原理原則から切り離すことはできません。呼吸の浅さ、深さ、速さ、穏やかさ、今、自分がどんな呼吸をしているのかに気づくことができます。
スタジオスミカでは、深く穏やかな呼吸を目指しています。それは胸式呼吸でも腹式呼吸でもなく、体本来の自然なリズムに沿った呼吸です。呼吸が深くなれば、内臓の働きや循環、自律神経のコントロールなど、体の内側から変化を促すことができます。
姿勢は整い、心は落ち着き、見た目の作られた美しさではなく、本来誰もが持っている美しさがにじみ出てくるはずです。
姿勢と呼吸はつながっています。
昔の言葉でいう「怒り肩」。
肩にグッと力が入り、首まわりが硬くなるような姿勢を思い浮かべてください。本当に怒っているのかもしれませんし、イライラしているのかもしれません。 単に力が入っているだけの場合もありますが、この姿勢では呼吸は浅く、そして速くなります。浅く速い呼吸は交感神経を活発にし、力が入っているだけでも、気持ちが焦ったり、イライラしやすくなることがあります。
呼吸は姿勢とつながり、姿勢は呼吸とつながる。
そしてどちらも感情と密接に関わっています。
その人の姿勢や雰囲気、さらには場の空気までも、呼吸がつくっているのかもしれません。